変形性膝関節症とは
膝の痛みを訴える疾患の中で、最も多いとされているのが変形性膝関節症です。膝の動きというのは、屈曲と伸展を繰り返すのみといったものですが、長年に渡っての膝の摩耗によって、膝関節の軟骨がすり減っていき、さらに進行すると骨まで変形していくようになります。
同疾患の特徴としては、やや女性に発症しやすく、さらに高齢になるほど発症率が高くなります。原因については、加齢が一番多いです。ただそれ以外にも、肥満(体重増)による膝への負担、過度な運動による膝の酷使、外傷(半月板や靱帯等で起きたケガ)、化膿性関節炎等の感染、遺伝的要因などによって引き起こされることもあります。
同疾患でよくみられる症状ですが、膝関節に痛みや腫れがみられるようになります。発症初期は、膝を動かし始める際に痛みが出ますが、動かしているうちに痛みがさほど気にならなくなる、休むとラクになるなどします。ただ病状が進行すると、歩行中はずっと痛みが続く、階段の昇り降りが難しい、関節の屈伸に制限がみられる、正座ができない等がみられることがあります。さらに状態が悪化すれば、安静時であっても膝が痛む、膝が変形するといったことも起きるようになります。
診断をつけるにあたっては、問診や膝の状態を確認するなどします。さらにX線撮影(レントゲン)を行い、軟骨のすり減りの程度等、膝の関節の状態を調べていきます。
治療について
膝は人間の体重を足二本で支えています。したがって肥満の方は、それだけで膝に負担をかけているので、減量に努めます。運動は減量に有効ですが、しゃがむ正座をするなど膝に負担をかけやすい動きは避けます。また関節周りの筋肉をつけることは関節を守ることになります。プールでの水中ウォーキングや大腿四頭筋エクセサイズ等を行うことで、下半身の筋力をつけていきます。
膝関節に痛みがあれば、膝にサポーターを巻く、NSAIDs等の痛み止めの服用、あるいは湿布などの外用薬を使用していきます。それだけでは痛みが治まらない場合は、ヒアルロン酸を膝関節内に注射することもあります。
なお上記の治療だけでは痛みが治まらず、膝関節の変形が激しくて日常生活に影響を及ぼしている場合は手術が選択されます。種類としては、関節鏡手術、骨切り術、人工関節置換術などがあります。